「母親失格」――これは、私が仕事と育児の両立に悩み、最終的に仕事を辞める決断をするまでに何度も心に浮かんだ言葉です。子供たちに十分な時間を割けないこと、家庭のことを後回しにしてしまう自分への罪悪感、それらが積み重なり、罪悪感すら感じなくなってきていました。今日は、私が仕事を辞める決断をした理由の2つ目を率直にお話ししたいと思います。
母親失格
母親としての葛藤
私は仕事が好きでした。キャリアを築き、認められることに喜びを感じ、チームの一員として成果を上げることに誇りを持っていました。しかし、子供たちが生まれてから、母親としての役割と仕事とのバランスに悩むようになりました。ワークライフバランスを考えるなんて絶対に無理でした。朝は急いで子供を保育園に送り、帰宅後は疲れ切った体で最低限の家事をこなし、その後も在宅ワークをしていました。子供たちと過ごす時間はどんどん少なくなり、彼らの成長を見守る余裕すらありませんでした。
- 子供が熱を出したとき、一番に考えるのは「仕事どうしよう?」でした。
- 自宅で仕事をしているときに、子供に話しかけられると「うるさい!静かにして!」と言ったこともあります。
- 子供がゲームに夢中になっていると仕事に集中できて安心している自分がいました。
- 子どもの参観日を夫婦で押し付けあったこともありました。
そんな自分が嫌でした。私がなりたかったお母さんからはかけ離れた私がいました。彼らにとって必要な存在でありながら、それを十分に果たせていないと感じることが何度もありました。
決断の理由:ショックだった出来事
以下のショックな出来事は会社を辞めようと決断するきっかけとなりました。
もちろん、仕事を辞めることは簡単な決断ではありませんでした。家計への影響や、これまで積み上げてきたキャリアを手放すことへの不安がありました。しかし、子供たちの笑顔や、彼らの成長を間近で見守ることができる喜びには代えられないと感じたのです。
卒園イベントでの手紙「お父さんへ」
長男の保育園の卒園イベントに出席しました。子どもたちが自分で書いたプログラムを渡してくれて、いろいろな催し物をしたり、歌を歌ったりしてくれました。大きく成長した息子やお友達の姿にとても感動しました。同時に、私はこの子のために何をしてあげたのだろう?と考え、胸が苦しくもなりました。
最後に子どもたちが親の元に来て、準備していたお手紙を読みました。うちの子供は少し困った顔をしていて、どうしたのかな?と思うと、「お父さんへ」という手紙を手にもっていました。
お母さんが来てくれると思わなかった…
そう言っていました。
お父さんへ、ご飯をつくってくれてありがとう。公園へ連れて行ってくれてありがとう。洗濯物を畳んでくれてありがとう。小学校でもがんばります。
と書いてありました。お父さんが来ると思ったのもほんとうかもしれませんが、お母さんへありがとうと書く内容がなかなか見つからなかったのかもしれない、と感じました。
感動の涙が悲しみの涙に変わって、珍しく泣いたのを今でも覚えています。「お母さんありがとう」と手紙をわたしてくれた息子に、「ごめんなさい」という想いが溢れました。
もう1回コロナになりたい
長男が保育園のとき、コロナウイルスに感染しました。私にも感染して、2人で2階に隔離されて1週間過ごしました。
すぐに元気になったので、2階で縄跳びをしたり、トランプをしたりして遊びました。私が在宅ワークをしている間は、子供はお絵描きをしていました。いつも以上に長男とべったり一緒にいたと思います。
治って数カ月後に長男が「もう1回コロナになりたい」と言いました。「なんてこと言うの!?」と怒ったのを覚えていますが、理由を聞くと「お母さんといっぱい一緒にいられたから」と答えました。
病気になってしんどかったことより、母親と一緒に入れたことが嬉しかったという息子に、胸が痛くなりました。母親失格と思いました。
「フルタイム、ワンオペママ」という言葉が嫌だった
SNSでは「フルタイム、ワンオペ」という投稿をよく目にしました。フルタイムで働いて、しかもワンオペで、立派にママをしている姿は、私には眩しすぎて、そんなふうにできない自分が情けなくて、見るのが嫌でした。
私は、ワンオペではありません。夫と協力して家事・育児をしています。私の両親のサポートを受けることもあります。それでも十分にはできていなかったので、単純に羨ましかっただけなのです。悔しかっただけなのです。どうやったらそんなふうになれるのだろう?と参考にするのではなく、そういう投稿は見ないようにするようになっていました。
今から取り戻せるだろうか? 自分を責めない。
会社を辞めたら、私はなりたかったお母さんになれるのかは分かりません。ただ、挑戦したいのです。きっと仕事よりも大変なことかもしれません。
会社を辞めてから、「本当にこれでよかったのだろうか?」と不安になることもあると思います。しかし、母親としての自分を取り戻し、子供たちと向き合う時間が増えれば、自分の選択が間違っていなかったと思える日がくるかもしれません。
「母親失格」から「彼らのたった一人のお母さん」へなりたいと思います。
「母親失格」と感じた経験は、きっと多くの働く母親が一度は抱える悩みだと思います。しかし、その感情に押しつぶされないことが大切だと思います。私が学んだことは、自分を責めるのではなく、自分と家族にとって最良の選択をすることが何よりも大事だということ、そしてこれからどう生きるかということです。今はいろんなママの投稿や話も参考にしながら、前向きに育児に取り組みたいと思っています。
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