40代前半でがんの手術を受けた私が実際にかかった費用と、民間医療保険から受け取った金額について詳しくお話しします。結論としては、公的保険だけで十分カバーできました。しかし、民間医療保険の給付金が精神的にも金銭的にも大きな支えとなったことも事実です。
40代前半、がんの手術で実際にかかった費用は?民間医療保険は本当に不要か?
がんの可能性があると言われ、手術をすることになったとき、私は恐怖と不安の連続でした。40代前半でがんになる確率は非常に低いと思いますが、いざ自分がその状況に直面すると、精神的な負担は想像以上でした。家族にも迷惑をかける、職場にも迷惑をかけてしまう、そういった思いもありました。
「早めに分かって良かったよ。早く悪いものとってもらって元気になろう。」と言ってくれる家族もいたのですが、自分の中では前向きに捉えられる要素があまりなく、マイナスばかりを感じていました。しかし、民間の医療保険による給付金については、唯一プラス要因となりました。実際に治療にかかった費用に関して、経済的な負担はかなり軽減されただけではなく、「病気になって辛いことばかり…」という思いを少し和らげてくれて、精神面でも大きかったです。
今回は、実際にかかった費用や医療保険から受け取った金額、民間医療保険のメリット・デメリットについて、体験をもとにお話しします。ちなみに手術を受けて、病気は完治しています。
実際にかかった費用
手術費用については、窓口で支払う金額を抑えたかったので、高額療養費制度を適用しました。その結果、窓口で支払った額は約26万円。この中には、個室を利用した際の個室料約8万円も含まれています。退院後の数カ月後、会社の健康保険組合からも16万円の給付金があり、最終的に私が実質的に負担した費用は約9万円でした。個室を希望しなければ、実際の自己負担は約2万円であったということです。
項目 | 費用 |
治療費 | 約122万円 |
窓口で支払った費用 (A+B+C) | 約26万円 |
A: 保険料自己負担額(高額療養費制度を適用) | 約17万円 |
B: 食事療法自己負担額 | 約1万円 |
C: 個室使用料 | 約8万円 |
会社の健康保険組合からの付加給付 | 約16万円 |
自己負担額 | 約10万円 |
つまり、公的な保険を使えば、大きな金銭的負担はほとんどなく、公的保険だけで十分だったということです。実際には、アメニティや手術に必要な備品の購入費用もありましたが、それらは1万円未満でしたので、公的保険だけで十分問題ありませんでした。特に、一般的な治療や手術に関しては、公的保険制度が非常にしっかりしていることを改めて実感しました。
さらに会社の「健康保険組合」の付加給付のありがたさも実感しました。毎月の病院に支払う自己負担が2万円に抑えられるようにするという制度は、実際に自分が給付を受けるまで知りませんでした。大企業、サラリーマンの恩恵を感じた瞬間でした。
民間医療保険の給付金
ただし、私は民間の医療保険にも加入していたため、A社からは入院給付金と手術給付金で18万円、B社からは9万円、さらにA社からは一時金として300万円の保険金が支払われました。この給付金/保険金のおかげで、実質的には収支が大きくプラスとなりました。
保険名 | 給付された金額 | 毎月支払っていた金額* |
A社 終身医療保険 | 18万円(手術給付金10万円、入院給付金1万円/1日×8日=8万円) | 約4,000円 |
B社 団体総合医療保険 | 9万円(手術保険金5万円、入院保険金5千円/日×8日=4万円) | 約2,000円 |
A社 三大疾病保険 | 特定疾病保険金300万円 | 約2,000円 |
病気で苦しい思いをしていた中で、こうした給付金があったことは、正直なところ大きな励みとなりました。がんの手術は精神的にも肉体的にもつらい経験でしたが、金銭的な余裕が生まれたことで、少しだけ気持ちが軽くなったのも事実です。母親からは「医療給付金で喜ぶなど不謹慎だ」と厳しく叱られましたが、病気になって嬉しいことなど何もなかった私にとっては金銭的な余裕がうまれたことが支えになったのは事実でした。
医療保険は本当に必要か?
40代前半でがんになる確率は非常に低いです。加えて、公的保険があるため、自己負担の金額は貯金で賄える金額となります。そのため、「医療保険は不要」という考えは、正しいと思います。実際、私の場合も、公的保険だけで経済的な負担は十分にカバーできました。
しかし、民間の医療保険に加入していたことで、個室を使う選択肢があったのは、私にとって精神的に非常に大きかったです。手術のために入院し、術後を過ごす病室について、個室を希望できたのは、入院期間中の過ごし方や気持ちが全く異なりました。4人部屋、2人部屋を過去の入院で経験している私は、初めて個室を利用しましたが、入院期間中の過ごし方や気持ちがが全く異なりました。
個室のメリットを見て、『えっ!?そんなこと?贅沢!』と思う方もいるかもしれません。ただ、入院中に個室で過ごせる快適さは、金額以上だったと実感しています。これまでの入院では、もったいないという思いで個室を選択したことは一度もなかったのですが、「毎日仕事していて、入院のときくらいは個室を使っても良い!」と自信を持って言えます。それくらい、メリットが大きかったです。
もし、医療保険に加入しておらず、個室代を出せる十分な貯金があったとしても、そのときの状況として「個室を希望したい!」とは家族に言えなかったと思います。病気になり、入院することになり、それだけでも十分家族に迷惑や負担をかけて申し訳ない気持ちでいるのに、それ以上の望みが言えなかったと思います。
保険は人それぞれの選択
私は40代前半でがんの手術を受けましたが、その前の30代にもいくつかの手術を経験しており、実際に多くの給付金を受け取っています。一度病気や手術を受けると一定期間、医療保険には入れなくなる場合があります。私は最初の手術を受けた後も保険を解約せずに続けていたため、結果的にがんの診断を受けた際にも多くの給付金を得ることができました。
こんなに40代までに多くの手術や入院をしている私のような人が珍しいのかもしれませんが、私のように、若い頃に不運にも手術や病気を経験した人には、少し違った視点が必要かもしれません。20代や30代では医療保険やがん保険などの毎月の保険料もそこまで高くなく、現代の医療の進歩で超早期で見つかるがんもあるため、これから妊娠、出産をする女性などは、「民間医療保険は不要」と考えるのを辞めるのではなくではなく、少し違った視点で掛け捨ての医療保険などを考えてみるのもありだと思います。
私は病気になり、医療保険を使用したからこそ、「私にとっては必要だった。入っていてよかった。」という結論になりますが、全く使用せず、保険料を払い続けていたとしたら答えは違ったと思います。もちろん”健康”がお金には変えられないどれだけ大切なものかは一番実感しています。
私のはなし
医療保険に加入した理由
私が医療保険に加入したのは、家族が保険会社に勤めていた時期があり、家族からのお願いで加入しました。その当時は結婚もしておらず独身で、家計管理を一生懸命していた訳ではなかったので、家族が困っているなら毎月1万円未満ならまあいいかな、といった軽い気持ちでした。その後、家族が保険会社を辞めたので、その後は「保険も解約してもいいよ〜」と言われましたが、解約の手続きをするのが面倒に思ってしまい、放置していたということです。残念なことに30代から多くの病気になってしまったので、結果的に20代で医療保険に加入していて良かったということになりました。
入院中の仕事について
私の今回のがん手術の場合、入院期間約1週間、その後の自宅療養期間は約2週間でした。その期間はいずれも会社の特別有給休暇(自身や家族の体調不良に使えるもの)10日、その後は通常の有給休暇を消化して対応したため、毎月の給与には影響しませんでした。
給付金を受け取って
給付金は想定外の収入となりましたので、入院期間中に育児のサポートをしてくれた両親、心配をかけた家族へ少し配りました。みんな「いらない」、と言っていましたが、臨時収入だから気にせずに受け取ってほしいことを伝えて渡したら、思わぬ喜んでもらえました。病気になって不幸なことを、少し笑いに変えられたことは、私の唯一の救いでした。
夫の医療保険
夫は毎月1万円程度の保険料(医療保険、生命保険)を払っていますが、ここ10年間で使用したことはありません。ですが、自身が病気になって給付金に助けられた経験があるため、夫の今の保険量は安くはなく、解約あるいは見直した方がよいということは分かっていながらも、解約することができないという状況に陥っています。。。医療保険を使わないということは健康ということで何よりありがたいことなので、健康に感謝しています!
結論:保険に入るかどうかは個人の判断
民間医療保険に入るかどうかは、人それぞれのライフスタイルやリスクに対する考え方によります。私の場合、若いうちに保険に入っていたことで、がんの手術を乗り越える際の金銭的な負担が軽減され、なにより精神的に助けられました。
特に、これから妊娠や出産を控えている女性や、毎月数千円の余裕があって毎月の保険料が高くない年代の場合は、掛け捨ての民間医療保険に入るという選択肢もありだと感じます。「起こる確率が低く、損失が小さいものは保険不要」という意見に賛成していますが、金銭的な損失は小さくても精神的なショックが想像以上に大きい場合には助けられた人もいたということです。
- 私の場合は、公的保険で経済的負担はカバーできたので、民間医療保険がなくても問題なかった。
- 「医療保険は不要、その分を貯蓄しておく方が賢い」という意見が多くあるが、若いときになる確率の低い病気になったときの精神的なショックは、金銭的損失よりも遥かに大きかったため、給付金に助けられたのも事実。
- 結局、医療保険の必要性は、人それぞれのライフスタイルやリスクに対する考え方による。
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